まず、リベラリズムとは何かということから始めましょう。
リベラリズムの根底には2つの前提があります。
これらについて、より詳細に説明しましょう。
リベラリズムの根底にある1つ目の前提とは、リベラリズムの中核には、個人主義、つまり、社会よりも個人を優先し、人間の個性を重視する、という考え方があるということです。
これと対立する考え方は、人間は基本的に社会的動物であり、個性を発揮する余地を確保しようと懸命に努力する存在に過ぎない、というものです。
そして、リベラリズムのこの考え方に基づいて、国民を定義すれば、国と社会的契約を結ぶ個人、というものになります。
リベラルの理論家は、同時に社会契約論者でもありますが、それは個人が集まって社会契約を結ぶ、と彼らが信じているからです、
要するに、個人と社会のどちらを優先するかによって、その社会の政治システムが決定されるということです。
だから、リベラリズムの本質は個人主義である、と言えるのです。
個人主義が、リベラリズムの根底にある1つ目の前提です。
リベラリズムの根底にあるは2つ目の前提は、何が最も優れた価値であるのかや、どのような人生が良いものであるのか、などについて、普遍的な合意に達することができない、ということです。
中絶やアファーマティブ・アクションのような問題について考えてみましょう。
そのような問題で普遍的な合意を得ることはできませんよね?
このことについては、また後ほどお話しします。
リベラリズムのルーツは、イギリスのカトリックとプロテスタントの宗教戦争にある、とわたくしは考えています。
カトリックがプロテスタントより優れた宗教なのか、あるいはその逆なのか、あるいは無神論が両者より優れているのか、あるいはユダヤ教やイスラム教がカトリックやプロテスタントより優れているのか、は判断できません。
それは誰にもわからないのです。
合意に達することはできないのです。
我々の能力には限界があるということです。
これらがリベラリズムの2つの前提です。
1つ目は、社会よりも個人を重視すること。
そして2つ目は、普遍的な合意に達することはできないという事実を受け入れることです。
※続き
②「リベラリズムは、暴力を引き起こす」という問題に対する解決策
→日本語訳
この訳に基づいて製作された動画はこちらです(関連写真も入れているので理解の一助になります)。
※この講演は、下記の著作の内容に基づいています。
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