今日お話ししたいのは、私の新著『大いなる幻想』についてです
この本は9月25日に正式に出版されました。
この本を作るのに約10年かかり、そのうちの7年間は、ひたすらハードワークを続けてきました、
この本に書かれているアイデアを考えるのに多くの時間を費やしました。
基本的な話になりますが、冷戦が終結した後、アメリカはリベラル覇権主義と呼ばれる外交政策を追求してきました。
そして、その戦略の主な目的は、世界をアメリカのイメージに作り変えることでした。
この政策は大失敗しました。
冷戦の終わりから現在に至るまで、特に2001年以降のアメリカの外交政策を見てみると、失敗の連続です。
それについては、これからじっくりとお話しします。
そして、最も答えるのが、難しいことは、なぜ、リベラル覇権主義が失敗したのかということです。
なぜ1990年代初頭の段階では、リベラル覇権主義について、あれほど楽観的だったのでしょうか?
なぜ、アメリカは、自分たちが世界から支持され、自分たちのイメージ通りに世界を作り変えられると思っていたのでしょうか?
しかし、現在、リベラル覇権主義について、1990年代初頭の楽観的な状況とは全く違う事態になっています。
何が間違っていたのでしょうか?
何が間違っていたのかを理解するためには、ナショナリズムとリアリズムとリベラリズムの関係を理解する必要があるというのが、わたくしの主張です。
繰り返しになりますが、アメリカの外交政策は、本質的にリベラルなものであり、それは、リベラル覇権主義と呼ばれています。
そして、リベラル覇権主義は、ナショナリズムとリアリズムに、ことごとく敗北してきたのです。
次のように議論を進めます。
まず第一に、リベラリズムとは何かについて説明しましょう。
その次に、ナショナリズムとは何かということを説明したいと思います。
リベラリズムとナショナリズムについて話すとき、私は国際政治については一切触れません。
ただ、リベラリズムとは何かということを理解してもらいたいのです。
米国は徹底したリベラル国家です。
リベラルな民主主義国家です。
共和党は保守派であると言われることもありますが、民主党も共和党もどちらもリベラルです、
私はリベラルという言葉をジョン・ロック的な意味で使っています。
米国は自由民主主義国家として誕生しました。
独立宣言、憲法、権利章典、これらは徹底的にリベラル的です。
つまり、アメリカ人はリベラルな国民なのです。
しかし、それが、具体的に何を意味するのかを理解することはとても重要です、
リベラリズムとは何であるのかを理解しなければ、リベラル覇権主義とは何であるのか、そして、それがなぜ失敗したのかを理解できないからです。
それから、ナショナリズムとは何であるのかを理解することも非常に重要です。
これから始める議論は、難しいものではありません。
ナショナリズムは地球上で最も強力なイデオロギーです。
リベラリズムとナショナリズムが戦えば、ナショナリズムが常に勝ちます。
私が説明したいことは、リベラリズムとは何か、ナショナリズムとは何か、なぜナショナリズムがリベラリズムに勝つのかということです。
それを踏まえた上で、リベラル覇権主義とは何かということを説明したいと思います。
つまり、米国が自国のイメージで世界を作り直したいと思っているとはどういうことなのかを説明します。
そして、なぜリベラル覇権主義という政策を行ったのかについてお話ししたいと思います、
また、米国が徹底したリベラル国家であることは説明しましたが、そのことについて、更に詳しく説明します。
それから、アメリカが具体的にどのようなことを世界各地で行ったのかについても話ししたいと思います。
具体的には、中東での失敗、NATOの拡大とロシアとの関係、中国への関与政策について説明したいと思います。
そのことを説明することによって、リベラル覇権主義という政策が、いかに失敗したものであったのかが分かるでしょう。
そして、リベラルな覇権主義という外交政策がなぜ失敗するのかについて説明しますが、基本的に、ナショナリズムとリアリズムが戦った時は、リベラリズムが負けるという話になります。
そして、自制的な外交政策や、私が賢明だと考える外交政策についても説明したいです。
※続き
①リベラリズム(自由主義)とは何か?
→日本語訳
この訳に基づいて製作された動画はこちらです(関連写真も入れているので理解の一助になります)。
※この講演は、下記の著作の内容に基づいています。
●日本語訳一覧