ここから更に、ウクライナについて詳細に見てみましょう。
これがウクライナの民族構成です。
ウクライナがひどく分断された国であることを示すために、後ほど別の地図もお見せします。
ウクライナ国内では、現在内戦が起きていますが、ロシアや西側諸国がウクライナで何をしたのかとは無関係に、元々ウクライナ国内で対立があったということです。
赤で示した地域では、ほとんどの人たちがウクライナ語を話しています。
更に東に進むとロシア系の人たちが多くなり、ロシア語を話す人も多くなります。
これは2004年のウクライナでの選挙の結果です。
これは有名なオレンジ革命後の選挙でした。
ご覧のように、ウクライナは東西に大きく分裂しています。
東部はロシア語圏、西部はウクライナ語圏です。
これは2010年の選挙結果で、この時はヤヌコビッチが当選しました。
2010年の選挙の投票パターンが、2004年の選挙の投票パターンとよく似ているのがわかるでしょう。
そして、これはアメリカにある国際共和党研究所が最近おこなった2つの調査です。
これは、「ウクライナが国際的な経済共同体に1つだけ加盟できるとしたら、どれに入るべきか」という調査です。
もちろん、青がEUで、水色は関税同盟、赤はロシア・ベラルーシ・カザフスタンの関税同盟です。
上の都市はウクライナ西部、下の都市はウクライナ東部です。
つまり、西部の人々はEUへの加盟を望んでおり、東部の人々はEUへの加盟にほとんど関心がないことがよく分かります。
そして、これは、NATOに加盟すべきかの調査の結果と同様です。
この2つのグラフは、ほとんど同じに見えます。
つまり、これら全ては「この国がひどく分裂していることを物語っている」ということです。
ウクライナをめぐる西側とロシアの対立は、このような状況の中で繰り広げられているのです。
※続き
・本題の理解に必要な前提知識④(欧州のエネルギー事情)
→日本語訳
この訳に基づいて製作された動画はこちらです(論文からの引用や関連写真も入れているので理解の一助になります)。
●日本語訳一覧
・本題の理解に必要な前提知識①(アメリカの核心的な戦略的利益とは?)
・本題の理解に必要な前提知識③(ウクライナとはどのような国なのか?)
・ウクライナを西側に取り込むために、米国が使っていた戦略とは?
・なぜ、ロシアは「ウクライナが西側の一員になることは、安全保障上の脅威である」と考えるのか?
・「プーチンが狂っているからウクライナ危機が起きた」という主張を論駁する
・「アメリカは善良な覇権国家なのだから、プーチンがNATO拡大を脅威だと考えるのは間違っている」という主張に反駁する
・「プーチンは以前からウクライナ征服を計画していたのであって、NATOの東方拡大がウクライナ危機を引き起こしたという話は間違い」という主張に反駁する