私は誤っていると考えているが、世間の人が正しいと信じているもう一つの常識は、
「アメリカは、ヨーロッパの安定を促進し、アジアや世界中の安定を促進する善良な覇権国家である」というものです。
確かに、日本やドイツ、ポーランドのように、米国を善良な覇権国家と見なす国もあります。
しかし、そうでない国もたくさんあるのです。
イランもそのひとつです。
中国もそのひとつです。
ロシアもそのひとつです。
彼らは、アメリカを善良な覇権国家として見ていません。
だから、米国では善意に解釈されることであっても、イランや中国やロシアは、そのように考えないということを理解すべきです。
彼らは、それを脅威と見なすのです。
民主化促進について私が指摘したことに戻りますが、アメリカ人は、「民主主義を促進することは完全な善だ」と信じています。
プーチンや北京の指導者たちが、なぜこのことが分からないのか、アメリカ人には理解できません。
しかし、他人が何を考えているかを認識できず、彼らの立場に立って物事を考えることができなければ、とんでもないトラブルに巻き込まれることになります。
もちろん、今回のウクライナ危機もそうでした。
※続き
・「プーチンは以前からウクライナ征服を計画していたのであって、NATOの東方拡大がウクライナ危機を引き起こしたという話は間違い」という主張に反駁する
→日本語訳
この訳に基づいて製作された動画はこちらです(論文からの引用や関連写真も入れているので理解の一助になります)。
●日本語訳一覧
・本題の理解に必要な前提知識①(アメリカの核心的な戦略的利益とは?)
・本題の理解に必要な前提知識③(ウクライナとはどのような国なのか?)
・ウクライナを西側に取り込むために、米国が使っていた戦略とは?
・なぜ、ロシアは「ウクライナが西側の一員になることは、安全保障上の脅威である」と考えるのか?
・「プーチンが狂っているからウクライナ危機が起きた」という主張を論駁する
・「アメリカは善良な覇権国家なのだから、プーチンがNATO拡大を脅威だと考えるのは間違っている」という主張に反駁する
・「プーチンは以前からウクライナ征服を計画していたのであって、NATOの東方拡大がウクライナ危機を引き起こしたという話は間違い」という主張に反駁する