次にお話することが、この論点における最後のことになります。
この件に関して本当に驚くべきことは、「ウクライナは重要な戦略的利益ではないから、ウクライナのためには戦わない」ということを認めているのに、ウクライナをNATOに加盟させるという話をしていたことです。
ウクライナをNATOに加盟させるということは、「ウクライナが攻撃された場合は防衛に向かう」という第5条をウクライナにも保証するということです。
第5条を保証するのは、冷戦時代のドイツのように重要な戦略的利益をもたらす国だけです。
アメリカは、一体何をしていたのでしょうか?
重要な戦略的利益ではない国に、第5条の保証を与えようと考えていたのでしょうか?
このことは、最近のアメリカの外交政策がいかに混乱しているかを物語っています。
そして、もちろんウクライナ危機は我々が引き起こした多くの混乱の一つに過ぎません。
ご存知のように、アメリカ人にはお金儲けの才覚があります。
しかし、外交政策に関しては何をやってもうまくいきません。
アフガニスタン、イラク、リビア、ウクライナ・・・・。
数えればきりがありません。
※続き
・ウクライナ危機の解決策
→日本語訳
この訳に基づいて製作された動画はこちらです(論文からの引用や関連写真も入れているので理解の一助になります)。
●日本語訳一覧
・本題の理解に必要な前提知識①(アメリカの核心的な戦略的利益とは?)
・本題の理解に必要な前提知識③(ウクライナとはどのような国なのか?)
・ウクライナを西側に取り込むために、米国が使っていた戦略とは?
・なぜ、ロシアは「ウクライナが西側の一員になることは、安全保障上の脅威である」と考えるのか?
・「プーチンが狂っているからウクライナ危機が起きた」という主張を論駁する
・「アメリカは善良な覇権国家なのだから、プーチンがNATO拡大を脅威だと考えるのは間違っている」という主張に反駁する
・「プーチンは以前からウクライナ征服を計画していたのであって、NATOの東方拡大がウクライナ危機を引き起こしたという話は間違い」という主張に反駁する